会長あいさつ

新型コロナウイルス感染症と東京オリンピックと看護図書館

 

 はじめまして。このたび日本看護図書館協会の会長を拝命いたしました聖泉大学の坂田直美です。微力ではございますが精一杯務めさせていただきますのでよろしくお願い申し上げます。

 さて、昨年から続く新型コロナウイルス感染症は収束するどころか第5波の猛威のなか全国的な感染爆発が起こっています。残念ながら予測された最悪のシナリオが現実のものとなってしまいました。医療の最前線で命を救うために奮闘されている皆様には本当に申し訳ない気持ちと感謝の気持ちで一杯です。

 ところで、2020年1月6日に国内で初めて感染者が報告されてから約1年7か月、看護教育に携わる皆様におきましても学生の安全を守りながら教育の質を担保するという難題に対し創意工夫を重ねられていることと思います。大学、専門学校の多くが2020年4月の緊急事態宣言下では全面遠隔授業になり、図書館も入館禁止となりました。看護図書館も例外ではなく、貸出期間の延長や、郵送貸出サービス、電子ブックやデータベースの導入・拡充、リモートアクセス環境の整備など、学生の学びを支えるため、それぞれの図書館ができることを模索し、さまざまな取り組みを行いました。その後は、感染状況に応じて感染防止対策を徹底しながら、段階的に利用制限を解除し、学外利用者の受入や夜間開館を再開するところも出てきております。しかし、入館者数を制限する、閲覧席数を減らすなど、図書館の利用方法はまだまだ限定的です。情報通信技術(ICT)の発達を受けて、図書館の在り方も時代に応じて変化していく必要性を実感しております。図書館司書の皆様と一緒に工夫を重ねていきたいと考えております。

 話は戻りますが、我が国の新型コロナウイルス感染者数が100万人を超えたというニュースは東京オリンピックの最中でした。この1年7か月の間、新型コロナウイルス感染症対策と東京オリンピック開催とはコインの表裏のように切っても切り離せない関係のなかで取り上げられてきましたが、私には神様から与えられた試練としか思えませんでした。日本人というより人間に対すると言った方が良いかもしれません。

 東京オリンピックのコンセプトの一つに「多様性と調和」がありましたが、この間に見えてきた人間のありようはまさに多様性そのもの。これに関しては今後専門的立場から検証されていくと思いますが、感染症対策とオリンピック開催という対極からのメッセージを受けて、日本人のさまざまな姿が鮮明にあぶりだされたような気がしております。これからも新型コロナウイルス感染症との闘いは続いていきます。私たちは今、人として、日本人として、どのような調和を目指せば良いのかを問われているのかもしれません。そこにも大学の果たすべき役割があるように感じております。

 最後に、新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方々のご冥福と、1日も早い収束を心からお祈り申し上げます。

 

                                     2021年8月    

                                   日本看護図書館協会  

                                    会長 坂田直美   

                                  (聖泉大学看護学部教授)